学会の活動
研究会報告
ここでは、研究事例・交流部会、研究会(学会助成研究)での活動についてご紹介します。
次回開催予定 Next Event
理論研究部会2024:定例会7・8月報告、次回予告
本部会では毎月海外の広報研究資料を読み、議論をしています。
【報告】第15回 7月19日(土) 報告者:村上信子(大分県立芸術文化短期大学)
テーマ:国際報道における国益フレームが世論に与える影響
論文:Brewer, P. R. (2006).
National Interest Frames and Public Opinion about World Affairs.
Harvard International Journal of Press/Politics, 11(4), 89–102.
https://doi.org/10.1177/1081180X06293725
第16回 8月15日(土) 報告者:安部由紀子(北九州市立大学)
テーマ:ゼレンスキー大統領の動画分析
論文:Lim, T. H., Yang, S. C., Ng, K. T., Quek, S., & Pang, A. (2025).
Seizing the narrative in a global information war:
Examining president Volodymyr Zelenskyy’s media communication strategy.
Journal of Communication Management, ahead-of-print(ahead-of-print).
https://doi.org/10.1108/JCOM-09-2024-0182
【予告】第17回 報告者:古橋正成(オズマピーアール)
テーマ:環境プログラムにおける倫理的正統性とPR
論文:Hurst, B., Johnston, K. A., & Messner, R. (2025).
Signaling cognitive and moral legitimacy by a voluntary environmental program:
Navigating the diffusion-impact paradox.
Public Relations Review, 51(4), 102593.
https://doi.org/10.1016/j.pubrev.2025.102593
開催日程、内容:https://bit.ly/rkbhi
参加希望者の連絡先:国枝( t_kunieda@sophia.ac.jp )
(国枝智樹)
アルゴリズム研究「情報流通構造の事例研究会」
6月以降、定例開催が途絶えておりましたことをお詫び申し上げます。
情報流通構造の事例研究会「アルゴリズム研究」を9月より再開いたします。
次回は 9月17日(火)17:00~18:00、オンライン開催 です。
前回(6月18日)は「検索エンジンとアルゴリズムの進化と広報対応」をテーマに、
検索技術の歴史や広報における“発見設計”の重要性について議論しました。
今回はテーマを進め、「現在のデジタル空間における情報・ニュースの拡散の仕組み」 を読み解きます。
SNS、とくにX(旧Twitter)のトレンド形成やニュースプラットフォームでの転載ルールなど、
デジタルPRの構造を多層的に捉え、大きな論調をいかに設計できるかを議論したいと考えています。
資料は事前に共有いたします(前回レポート、完成前の参考資料含む)。ぜひご参加ください。
参加受付:tashiro@materialpr.jpまで
(田代)
30周年記念事業の進捗報告
1.広報学会30年史は最終稿の確認をしています。
9月末の発刊目指して最終コーナーを回りました。
皆様のお手元には10月には届く予定です。完成をお楽しみに!
2.「経営機能としての広報」についての経営者インタビューが進んでいます。
昨年のアンケートで「インタビュー受諾可」としていた45社に申込をし、
その中から、この8、9月にインタビューを受けてくれる企業の経営者にインタビューを始めています。
インタビューへの参加希望者27名にも同席して頂きながら、貴重なインプットができています。
10月12日の東京都市大での研究発表全国大会で速報の発表をしますので、こちらもご期待下さい。
(柴山慎一・30周年記念事業TFプロジェクトマネジャー)
サステナビリティ広報戦略研究部会・活動報告
第3期の活動開始にあたり、第1回会合が2025年5月30日(金)、ハイブリッド形式にて開催されました。
主査チーム(安部、折笠、加藤、駒橋、柴山、城島、杖村、本田/敬称略)を含む25人が出席し、
研究会の今後の展開に向けた議論をしました。
本研究会は、サステナビリティ経営の進展に伴い、
企業と社会をつなぐコミュニケーション機能の再構築が求められているとの認識のもと、
2021年度に発足。現在は第3期(2025年度・2026年度)に入り、
企業のサステナビリティ/広報担当者、メディア・広報関係者、アカデミアなどのメンバー計32人が
「企業が持続可能な社会の実現に貢献しつつ、
効果的かつ信頼性の高いサステナビリティ広報戦略をどのように構築・実践するか」について、
有識者・実務家からの実例報告、対話を通じて研究活動を進めています。
第1回会合では、参加メンバーによる自己紹介を通じて相互理解を図った後、
第2期までに実施された研究内容の共有を行い、これまでの成果と課題を振り返りました。
続いて、第3期における活動計画、運営方針、体制について確認し、
今後の講演テーマや講師候補についても具体的な意見交換が行われました。
活発な議論を通じて、研究会の方向性と相互理解が深まり、実りあるスタートとなりました。
第2回会合は、9月17日(水)に、サステナビリティ分野で長年にわたり
実務と研究の両面でご活躍されている河口眞理子氏(立教大学特任教授、元大和総研)を講師にお迎えし、
「サステナビリティ広報を考える前に、
『社会』との『コミュニケーション』とは何だろうか?」をテーマにご講演いただきます。
(安部由紀子)
大手小売業の協力で実証実験を予定
2023年4月からスタートした「人的資本経営と効果的IC施策研究会」では
3年目を迎えた今年度には、先進企業の事例研究と並行して、
対話施策の効果を検証する実証実験プログラムを進める方向で
協力企業との具体的な計画を検討しています。
世界各地の政治・社会を覆う分断の構図はニュース画面に映るだけでなく、
わが国企業社会にも深く突き刺さりつつあるかもしれません。
人的資本経営の導入を提言した人材版伊藤レポートの中にも、
対話(ダイアローグ)施策が30か所も登場し、経営推進のドライバーとして位置づけられています。
その意味で今回の実証実験プログラムは、
ある意味伊藤レポート版「実践施策」の可能性を秘めるとともに、
人的資本経営を定着させていく企業文化の要素も孕むのではないかと思われます。
(清水正道・研究会主査)
「サステナビリティ広報戦略研究部会」メンバー募集のお知らせ
サステナビリティ経営時代における広報・コミュニケーションの在り方を探求してきた
「サステナビリティ広報戦略研究部会」の第3期(2025~2026年度)メンバーを募集しています。
これまでの第1期(2021~2022年度)、第2期(2023~2024年度)の研究成果を踏まえ、
第3期では、企業が持続可能な社会の実現に貢献しながら、
信頼性の高いサステナビリティ広報戦略をいかに構築するかをテーマに、
国際的な潮流や規範にも目を向けながら検討を深めていきます。
活動は、年6回程度、ハイブリッド(都内+オンライン)またはオンライン形式で開催予定です。
各回には、国内外の企業・団体のサステナビリティ推進部門や広報担当者、国際NGO、
国際規範に詳しい有識者など、さまざまな視点をもつ専門家を招き、
事例研究とディスカッションを行います。第1回の会合は、5月30日(金)19時~、
都内+オンラインのハイブリッド形式で
今後の研究計画など話しあう予定です(登録者には詳細をご案内します)。
部会への参加申し込みはこちらからお願いいたします。
https://www.jsccs.jp/private/Recruitment-of-Member-25.html
※毎回の出席は必須ではありませんので、お気軽にご登録ください。
可能な限りアーカイブ視聴もご用意いたします。
問い合わせは、安部(abeyu@ruri.waseda.jp)までお寄せください。
みなさまのご参加、お待ちしております。
(安部由紀子)
理論研究部会2024:定例会3月報告、4月予告
本部会では毎月海外の広報研究資料を読み、議論をしています。
【報告】【報告】第11回3月15日(土)西川会員が、
ノルウェー政府省庁におけるコミュニケーション専門職を分析したFigenschouらの論文を報告。
論文は、「情報提供者」と「スピンドクター」の2つの理想型を提示し、6つの次元で役割を整理。
実証分析では両者の特徴を併せ持つことが明らかになった。
議論では、日本の行政広報への応用可能性、政治化の程度、
戦略的広報の位置づけ、用語や比較軸の妥当性が論点となった。
【予告】第12回4月19日(土)は普段と違い、
メンバーが互いの研究領域に対する理解を深める機会とする予定。
第一部で各自がこれまでの研究、現在取り組んでいる研究などについて5分程度で紹介し、
第二部で自由にディスカッションをする。
今後の開催日程や過去に扱った論文は以下のスプレッドシートでご覧いただけます。
参加希望者は国枝( t_kunieda@sophia.ac.jp )までご連絡ください。
https://bit.ly/rkbhi
紛争と国際世論とパブリックリレーションズ
「情報流通構造の事例研究会」オンライン開催のお知らせ
テーマ:「紛争と国際世論とパブリックリレーションズ」
近年、戦争や紛争における「情報戦」は、戦場の戦いと同等、
あるいはそれ以上に重要な要素となっています。
SNSやメディアを駆使したPR戦略がどのように国際世論を形成し、
政策決定に影響を与えているのか。
本研究会では、湾岸戦争時の「ナイラの証言」を起点に、ロシア・ウクライナ戦争、
イスラエル・パレスチナ紛争、その他近年の情報戦の事例を交えながら、
PR会社の役割を分析します。
【開催概要】
日時:3月27日(水)17:00~18:00
開催形式:オンライン(Googleカレンダーで招待します)
(事前登録制)
主なトピック
・「ナイラの証言」とPR会社の関与
・ロシア・ウクライナ戦争におけるゼレンスキー大統領の情報戦略
・イスラエル・パレスチナ紛争の情報戦と国際世論
・PR会社の倫理と情報操作の境界線
国際関係・広報・メディアに関心のある方のご参加をお待ちしています!
参加申し込みはこちら:tashiro@materialpr.jp (田代 順)
九州部会
九州部会 部会長・小野豊和
1.研究発表全国大会(南山大学)でポスター報告。中部・関西・中四国・九州の
4つの地域部会コーナーを設けていただきました。
2.次回研究会
・日 時:11月28日(木)18:30~20:00
・テーマ:(仮)「漫画ビジネスと漫画家育成」
・講 師:日本漫画塾代表 信濃裕馬社長
*九州部会対象ですがオンライン開催なので参加希望者は
小野(⇒ toyokazuono@gmail.com)まで。 申込〆切:11月20日
(部会長 小野豊和)
情報流通構造の事例研究会定例活動報告
10月29日情報流通構造の事例研究会定例報告
【小池百合子・石丸伸二・蓮舫の広報戦略に関する概説】
2024年の都知事選において、小池百合子氏、石丸伸二氏、蓮舫氏は、
それぞれ異なる広報戦略を展開し、ターゲット層やメディアの活用方法に違いが見られました。
3人の候補者は、それぞれ異なるメディアとメッセージの組み合わせで選挙を戦いました。
小池氏は既存支持基盤を守るための安定的な戦略、
石丸氏はSNSを駆使して若者層にアピールする攻めの戦略、
蓮舫氏は親しみやすさと既存政党への批判を軸にした戦略を採用しました。
これらの戦略の違いは、選挙結果に直接的な影響を与えたと言えます。
【議論、意見、指摘】
YouTubeを活用した情報流通構造と選挙戦略に関する考察
2024年の都知事選では、YouTubeを中心とした編集動画の拡散が
選挙結果に大きな影響を与えました。
特に、候補者の一部はSNSを積極的に活用し、投票者の関心を引きつけることに成功しましたが、
一部の個人編集者が広告収入を目的として選挙応援を行った側面もあり、
情報流通が商業化される一面が露呈しました。
情報流通構造と商流の一体性
メンバーからの指摘として、情報の流通が「金流」や「物流」と結びつき、
一体化して商流として機能している可能性が示されました。
これは、選挙活動においてもマーケティング的なアプローチが重要視され、
情報が資本や物流と密接に関連している現状を反映しています。
小池百合子氏の選挙妨害とSNS批判
選挙期間中、小池氏には選挙妨害の事例もあり、ネガティブな影響を受けました。
また、今回の選挙では、衆議院選における最高裁判事の信任投票においても、
SNSでの批判が高まり、結果的に約10%が不信任票を投じたことが報告されています。
YouTubeによる拡散の影響
特に石丸氏は、YouTubeを戦略的に活用して若年層を取り込み、支持を拡大しました。
彼の支持者の約半数がYouTubeを参考に投票行動を決定したとされ、
これが選挙戦の新たな形を象徴する結果となりました。
一方で、動画の編集者や拡散者は広告収入の目的も持っており、
選挙応援と商業利益の両立が複雑な状況を生みました。
今後の課題
SNSの利用が今後の選挙においてますます重要になる中で、
情報の透明性と商業化のバランスをどう取るかが課題です。
また、SNS上の批判が投票結果に及ぼす影響についても、さらに分析が必要です。
政治と商業の交差点におけるリスク管理の強化が求められるでしょう。
情報流通の商流との一体性、SNSを通じた批判の影響、
そして今後の選挙戦における課題を概説しました。
以上
次回は11月26日18時からオンライン開催
メンバーからの自主発表がなければ
「#なめくじ投稿から倒産は防げた?」を検証します。スポット聴講も可能です。
主査: tashiro@materialpr.jp
(田代 順)