日本広報学会について
研究倫理声明
日本広報学会「研究活動における倫理声明」
研究倫理規範の遵守は、研究活動に携わる者すべてにとって不変の科学的・社会的責務である。
しかし近年、短期的な研究成果を求める社会的圧力や急激な技術革新を背景に、一般的な研究倫理規範を逸脱する事例が頻発している。こうした状況を受け、研究倫理規程の制定や厳格な運用を求める社会的要請が強まっている。
日本学術会議においては、2006(平成18)年、すべての学術分野に共通する基本的な規範である声明「科学者の行動規範について」を決定した。しかしその後、「データのねつ造や論文盗用といった研究活動における不正行為の事案が発生したことや、東日本大震災を契機として科学者の責任の問題がクローズアップされたこと、いわゆるデュアルユース問題について議論が行われたこと」[1]から、2013(平成25)年に同文書を大幅に改訂した。改訂文書では、「社会の中の科学者」「公正な研究」などの概念が新たに導入され、社会科学を含む研究活動における基本的な規範を改めて明確にした。
翻って、日本広報学会においてはこれまで、明文化された研究倫理規程を設けてこなかった。それは、会員それぞれの内面における倫理規範に期待し、性善説の立場に立つことによって、適正な学会運営や研究活動、発表活動を行うことができたからである。しかし、上述したような社会的変化や要請の下、研究倫理規範を大きく逸脱するような事例がひとたび発生した暁には、当学会の社会的評価や会員相互の信頼関係を大きく毀損する可能性がある。
そのような一定の危機意識に加え、実務家と研究者が対等な立場で学術活動を行うことを旨とする当学会の存立意義を踏まえ、今般、理事長、研究委員長、学会誌委員長、総務委員長の連名で、当学会会員が遵守すべき当面の研究倫理規範を「声明」として明文化することにした。
なお、「声明」の起草に当たっては、日本経営学会、日本社会学会、日本メディア学会の倫理綱領、および日本経済団体連合会の企業行動憲章、東京商工会議所の企業行動規範を参考にした。記して感謝したい。
今後、この声明を起点として、当学会としての公式の倫理綱領や研究指針が早期に策定されることを強く期待するものである。
2026年5月31日
理事長 佐藤達郎
研究委員長 伊藤直哉
学会誌委員長 築地達郎
総務委員長 鶴野充茂
日本広報学会会員が遵守すべき倫理規範
日本広報学会会員は、研究・教育・実務などの活動に当たって、以下のような倫理規範を遵守すべきである。
I. 公正性の確保、誠実な行動
研究者会員においては学術コミュニティ(The Academic Community)への参加者であること、実務家会員においては「良き企業市民」(good corporate citizen)の一員であることに自覚を持ち、活動全般に亘る公正性を確保し、誠実な行動に努めるべきである。また、すべての行動に当たって説明責任が伴うことを認識すべきである。
II. 他者の権利保障、人格と尊厳の保護
会員は調査対象者(個人及び団体)の人権、および研究資料作成者の社会的権利を保障すべきである。とくに以下の諸点について十分に理解し、適切な行動を取るべきである。
(1) 個人のプライバシー保護
(2) 差別の禁止
(3) ハラスメント禁止
(4) 著作権侵害の禁止
III. 社会貢献
会員は研究・教育・実務などの行動を通じて社会貢献に務めるべきである。そして、会員の社会貢献がとくに以下の原則的な行動によって実現することに留意すべきである。
(1) 研究成果を積極的に公表すること
(2) 研究プロセスの開示責任を果たすこと
IV. 相互批判・相互検証の場の確保
会員は、開かれた態度を保持し、相互批判・相互検証の場の確保に努めるべきである。
V. 研究資金の適正な取扱い
会員は、研究資金が原理的に社会一般からの付託に基づいて得られるものであることを理解し、適正な取り扱いに努めるべきである。
以上
[1] 日本学術会議「声明 科学者の行動規範 ─改訂版─」(2013),p.4
