日本広報学会について
AI利用に関するFAQ
n AIツールの定義・分類・範囲
Q このガイドラインで「AIツール」とは何ですか。
A 研究活動、論文執筆、査読などを支援するAIを用いた情報サービス全般を指します。生成AI、AI検索、AI翻訳、文字起こし、要約、コード作成、データ分析支援、AIエージェントなどを含みます。ツールの名称や技術分類よりも、研究内容・分析・解釈・表現・査読判断にどの程度影響したかを重視します。
Q 「AIツール」は「生成AI」と同じものですか。
A 生成AI(Generative Artificial Intelligence)はAIツールの一種です。文章、図表、画像、動画、コードなどを生成(generate)するAIを指します。ただし本ガイドラインでは、生成AIかどうかだけでなく、研究や査読に与える影響の程度に応じて、申告、記録、論文中の明示の必要性を判断します。
Q 「ハルシネーション」(hallucination)とは何ですか。
A 原義は「幻覚」「幻影」を指す英単語で、生成AIが往々にして「もっともらしい嘘の文章」や「あたかも実在しているかのような虚構の画像」などを生成する現象をこう呼びます。事実確認の責任は、あくまでその利用者にあります。
n AIツールを利用した場合の記録について
Q 研究にAIツールを利用した場合には、どのような情報を記録しておく必要がありますか。
A 少なくとも、使用したAIツール名、利用時期、利用目的、利用範囲、入力した情報の種類、出力をどのように利用したか、著者または査読者がどのように確認したかを記録してください。研究内容や分析結果に実質的な影響を与える利用については、必要に応じて説明できるよう、プロンプト、出力、修正過程、確認資料なども保存しておくことが望まれます。
n 研究活動における利用場面とその適否について
Q 収集したデータをAIツールを用いて分析する場合の注意事項を教えてください。
A AIツールをデータの整理、分類、要約、概念化、コード化、統計処理の補助などに用いることはできます。ただし、個人情報、未公開データ、インタビュー記録、自由記述、企業・団体の機密情報などを入力する場合は、同意、匿名化、利用規約、データ保存、学習利用、人間レビュー、第三者提供の有無を確認し、必要な保護措置を講じてください。確認できない場合や、研究対象者に不利益が生じるおそれがある場合は、当該情報を入力しないでください。
Q インタビュー調査やヒアリング調査において、生成AIを用いるインタビュー代行サービスを使ってもよいですか。
A 利用することはできます。ただし、調査協力者にAIツールを利用することを事前に説明し、必要な同意を得てください。取得した音声、逐語録、回答内容、個人情報の保存・利用・第三者提供・学習利用の有無を確認し、必要に応じて所属機関等の倫理審査・手続きに従ってください。
Q 学会誌『広報研究』に投稿する際に、AIツールを利用した事実はどのように記載すればよいですか。
A 研究内容、分析、解釈、考察、図表作成などに実質的な影響を与えるAI利用については、論文中にAIツール利用ステートメントとして包括的に記載してください。
一般的には、著名学術出版社Elsevier社の記載例を参考に、以下のようなAIツールステートメントを本文末尾(参考文献リストの前)に挿入します。
(英文記載例)
AI Tools Statement: During the preparation of this work the author(s) used [NAME OF TOOL / SERVICE] in order to [REASON]. After using this tool/service, the author(s) reviewed and edited the content as needed and take(s) full responsibility for the content of the published article(Elsevier, 2025).
(和文記載例)
「AIツールステートメント」(応用例)本論考の執筆過程で、著者はOpenAI社のChatGPT(2025)を用い、インタビューデータより本論考表1の特徴抽出を作成し、参考文献作成、論文本文の校正、英語要旨の校正を行った。このAIツールの使用後、著者はその修正内容を確認・再校し、本論考内容の全てに関して全責任を負っていることをここに記す。
Q AIツールの出力そのものを本文で引用・再現する場合や、特定のAI出力を研究対象として扱う場合は、包括的なElsevier方式の記載では情報が足らないと思います。どのように表記すればよいですか?
A その場合は、従来からの「投稿の手引き」に従い、必要に応じて出典を示してください。
当学会誌の引用表記スタイルは、社会科学分野で世界的な標準のひとつとされる「APA」スタイルに準拠し、一部カスタマイズして活用しています。現行のスタイルルールは2024年6月改訂版です。学会誌委員会としては同手引きの改訂を急いでいますが、当面の間、APAが公開している「AI References」の記載方法で記載して下さい。以下に日本語による記載方法を紹介します。
1. 参考文献の書き方(APAの一般的参考文献と同じ記載方法)
著者:AIツールの開発企業名
年:AIツールの最新更新年
タイトル:AIツールの名称
説明:[ ]内にAIの機能説明
情報源:AIツールのURL
上記項目をそれぞれ以下の順番に並べる。 「著者. (年). タイトル [説明]. 情報源」
例:OpenAI. (2025). ChatGPT [大規模言語モデル]. https://chatgpt.com
2. 文中での括弧書き引用(APAの一般的括弧書き引用と同じ記載方法)
例:(Google, 2026; OpenAI, 2025; Perplexity AI, 2026)
3. 文中での主語引用(APAの一般的主語引用と同じ記載方法)
例:Google (2025), OpenAI (2025)さらにPerplexity AI (2026)は、~
Q 研究発表全国大会に向けて予稿を作成したり口頭発表をしたりする場合には、どうすればよいですか。
A 基本的には学会誌『広報研究』に準じて対応してください。
n 査読作業での利用
Q 査読にAIツールを用いてもよいですか。
A 査読者は、論点整理、確認事項の抽出、査読コメントの表現整理など、査読作業の補助としてAIツールを利用できます。ただし、査読対象原稿は未発表の情報であり、原稿全文または機密性の高い内容を、機密性を損なうおそれのあるクラウド型AIツールに入力することは原則として認めません。AIツールを利用した場合でも、査読上の評価および判断は査読者自身が行い、所定の方法により利用状況を申告してください。
Q 査読でAIツールに入力してよい情報の範囲はどこまでですか。
A 原稿全文、未公開の研究データ、著者が特定される情報、機密性の高い記述を入力することは避けてください。自分で作成した査読コメント等の表現整理、一般的なチェック観点の確認、公開情報に基づく用語確認など、機密性を損なわない範囲で利用してください。
更新履歴:
初版2026年7月6日公表
