日本広報学会について

AI利用ガイドライン

「研究活動におけるAIツール利用ガイドライン」

 日本広報学会は、近年におけるAI(人工知能、Artificial Intelligence)利用の普及・浸透を踏まえ、AIを用いる情報サービス(以下「AIツール」と呼ぶ)の研究利用に関する基本的な考え方を定めました。
本ガイドラインにおけるAIツールとは、研究活動、論文執筆、査読などを支援するAIを用いた情報サービス全般を指します。
 AIツールの技術進化は著しく、これまでの研究上の常識を覆すような状況が出現しています。的確に用いれば大変有用ですが、場合によっては基本的な研究倫理を逸脱することにもなりかねません。
 調査活動、論文等の執筆、査読などを行うときには、このガイドラインおよび「研究倫理声明」(2026年5月31日付)を必ず参照していただき、研究倫理の遵守をお願いします。
 本ガイドラインは学会誌『広報研究』第31号(2027年3月発行予定)より適用します。

2026年6月30日
日本広報学会

I.    基本原則
(ア)    著者としての責任
 日本広報学会における研究発表および論文等において、AIツールは著者または共著者として認めません。AIツールを用いて文章、図表、画像、動画、分析結果などを生成・作成した場合であっても、その内容に関する責任は、著者(筆頭著者および共著者の全員)が負うものとします。
 著者は、AIツールの利用の有無にかかわらず、研究内容の真正性、独創性、新規性、学術的妥当性を自ら確認し、必要に応じて根拠を示す責任を負います。

(イ) 第三者の権利および機密情報への配慮
 AIツールを利用する者は、従来からの研究倫理や企業倫理の一般通念に従い、入力する情報および得られた出力について、第三者の著作権、肖像権、プライバシー、名誉、機密情報などを侵害しないよう確認する責任を負います。
 未公開資料、個人情報、インタビュー記録、査読対象原稿、企業・団体等の機密情報などをAIツールに入力する場合には、当事者の同意、個人情報の匿名化、各AIツールの利用規約、AIによるデータ保存・学習利用の有無などを確認し、必要な保護措置を講じるものとします。

(ウ) AIツール利用の申告、開示および記録の責任
 AIツールを利用する者は、その利用の有無、利用目的、利用範囲および確認方法について、所定の方法により申告し、必要に応じて説明できるよう記録を保存する責任を負います。
 著者は、AIツールの利用が研究内容、分析、解釈、考察、図表作成などに実質的な影響を与える場合には、論文等の中でその利用方法を適切に明示するものとします。
 査読者は、査読過程でAIツールを利用した場合、未発表原稿の機密性を損なわず、査読判断をAIに委任していないことを、所定の方法により申告するものとします。

II.    各種研究場面において想定される利用形態とそれに対する基本的な考え方
(ア)    研究企画場面 

  • 研究テーマの探索、論点整理、仮説形成、調査設計の検討などにAIツールを活用することは、研究企画を充実させる有効な手段となり得ます。ただし、AIツールの出力は参考情報として扱い、研究上の判断は研究者自身が行うものとします。

(イ)    調査活動場面

  •  AIツールは、翻訳、文字起こし、要約、調査票作成、情報収集、コード作成、データ処理の補助などに活用できます。
  • ただし、個人情報、インタビュー記録、自由記述、未公開資料などをAIツールに入力する場合は、同意、匿名化、利用規約、データ保存・学習利用の有無などを確認し、必要な保護措置を講じるものとします。

(ウ)    分析における利用場面

  • AIツールは、データの整理、分類、要約、概念化、コード化、統計処理の補助などに活用できます。
  • 分析に用いた場合は、利用方法、使用したAIツール、利用時期、確認方法を記録し、研究結果に実質的な影響を与える場合は論文中で明示するものとします。
  • 個人情報、未公開データなどを入力する場合は、匿名化、同意、利用規約、データ保存・学習利用の有無などを確認し、必要な保護措置を講じるものとします。

(エ)    著作物執筆の場面

  • 論文等の執筆においてAIツールを利用した場合、著者は、その利用が研究内容、分析、解釈、考察、図表作成などに与えた影響の程度に応じて、論文中に適切に明示するものとします。ただし、誤字脱字の確認、表記ゆれの修正、軽微な校正などにとどまる利用については、論文中での明示を必須とはしません。
  • 明示にあたっては、利用箇所を逐一示すのではなく、利用目的、利用範囲、使用ツール、著者による確認方法などを包括的に記述することができます。
  • AIツールの出力を利用した場合も、著作内容に関する責任は著者が負います。

(オ)    査読における利用場面

  • 査読者は、論点整理、確認事項の抽出、査読コメントの表現整理など、査読作業の補助としてAIツールを利用することができます。
  • ただし、査読対象原稿は未発表の情報であり、機密性を損なう恐れのあるクラウド型AIツールに、原稿全文または機密性の高い内容を入力することは原則として認めません。
  • AIツールを利用した場合であっても、査読上の評価および判断は査読者自身が行い、所定の方法により利用状況を申告するものとします。

III.    本ガイドラインの更新について
 AIツールの技術革新速度は著しく、AI利用にかかるリスクの規模や質、そして社会通念は日々激しく変化しています。
 そこで、本ガイドラインの有効期限はとくに設けず、状況の変化に応じて随時更新していくことにします。
 更新任務は、理事長、研究委員長、学会誌委員長、総務委員長の合議によって行います。事務は学会事務局が担います。

以上