学会の活動

研究会報告

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情報流通構造の事例研究会活動報告

第10回 オンライン開催 参加:岩澤、太田、小山、田端、池田、玉川、田代
「情報資源の経営戦略」を読む(登壇:太田民夫さん)

企業が成り立つ「ヒト、モノ、カネ」の研究は広く知られているが、
「情報」に視点を置いた研究は意外と少ない。
同書は「情報処理システムとしての企業(組織)」を理論の出発点と位置付ける。
企業を取り巻く「情報の流れ」に焦点を当て4つの情報の流れを解説。

それぞれの情報の流れの効率化と有用性が企業の収益に直結する、としている。
「情報の流れを把握しているか」「情報の流れを経営に生かしているか」という
2つの大きなテーマで構成、ビジネス誌紙で報道された事例も盛り込んでいる。

本研究部会で行っている事例研究や情報流通に関するモデル研究を
さらに進めていくうえで、企業の情報の流れの全体像を再度、確認するのは
意味があると思う。

これまで行ってきた研究部会の主な研究テーマの位置付けも不十分だが試みた。
同書の問題意識と会員各位の広報実務や研究との関連性も取り上げて議論された。
                                
参考「情報資源の経営戦略 SNS時代の競争優位」
西野和美一橋大学准教授著、日本経済新聞出版、2021.12発行

第11回 3月28日 オンライン開催 井上、岩澤、太田、小山、玉川、田代
「情報は洩れるのか、漏らすのか 記者の取材行動原理を読み解く」(登壇:田代)

スクープ記事、リークと思われる記事から企業と記者の取材対応事例を解説し
企業はいかにして記者との信頼関係も取りつつ有利な情報提供をしているのか。

3つの事例より、(1)保険会社の新社長就任事例では新聞社に取って
有利な情報提供と企業にとって有利な紙面掲載がみられた。
(2)株主総会前に未発表議案を掲載した事例。
社内が混乱しているのか広報が正常に機能していないケース。
(3)記者のスクープ事例。捜査関係者の取材によって明らかになったと記されていた。

以上記事事例から情報提供のタイミング、記者の取材行動、
新聞社の掲載意向などを議論した。

当会メンバーには記者経験もあったので、記者心理についても貴重な感想が聞かれた。
また安易な情報リークでは記者との信頼関係にも悪影響を及ぼす指摘もみられた。
広報活動のリレーションシップマネジメントの視点でも企業と記者(メディア)との
信頼関係の上に適性な情報提供があるべき。

企業広報と記者の取材における心理状態も、
記事掲載に大きな影響を及ぼすと認識を新たにすることができた。

(田代順)