学会の活動

日本広報学会賞

概要Outline

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2011年度(第6回)日本広報学会賞決定

2011年度は学会賞審査委員会の顔触れが大きく変ったため、審査委員会を8月10日と9月15日の2回にわたり開催しました。第1回審査委員会では、審査委員長の互選を行い、菅原正博・宝塚大学教授が委員長に選任され、選考基準の確認を行うとともに、審査スケジュールの検討を行った。その後、各審査委員が全応募作品の査読を行い、第2回委員会にその査読結果をもちより、慎重審議を行って授賞候補作品を選定し、理事会(10月3日)の承認を得て、授賞作品が最終決定しました。例年通り第17回研究発表大会(東京経済大学)の初日である10月22日(土)の冒頭で結果発表と表彰が行われました。

審査対象

2011年度は第6回となるが、本学会会員が2010年4月1日から2011年3月31日までに公刊した図書・論文で自薦、他薦によるもの、および『広報研究』第15号収録の論文を対象に候補作品の募集を行った結果、図書2点、論文3点、計5点の応募がありました。これを部門別にみると以下の通りであった。

  • 学術貢献賞への応募 1点
  • 優秀研究奨励賞への応募 1点
  • 研究奨励賞への応募 3点
  • 教育・実践貢献賞への応募 2点

(複数の部門に応募した作品があるため、応募作品数と部門別の応募作品数は一致しない。)

審査結果

学術貢献賞

該当なし

秀研究奨励賞

該当なし

研究奨励賞

〔論文〕吉田 博著
『会社役員の報酬情報の戦略的課題—コーポレート・コミュニケーションの視点からー』
(2011年3月31日発行、京都マネジメント・レビュー第18号所収)

教育・実践貢献賞

〔図書〕猪狩 誠也編著『日本の広報・PR100年—満鉄からCSRまで』
((株)同友館、2011年3月刊)

受賞作品の講評

(文中敬称略)

日本広報学会賞審査委員会「研究奨励賞」の授賞理由

選出の理由として、コーポレート・コミュニケーションの立場から、IRを基盤にしたコーポレート・ガバナンス論を展開している新しい研究であると判断しました。
これまで広報研究では、IRは「投資家」というステークホルダーの1構成メンバーとして扱われてきましたが、IRは単に財務部と投資家の関係性の問題だけではなく、「コーポレート」という経営トップの全社的な戦略的視点を重視すべきである、という本論文の指摘は、戦略的広報が叫ばれている時代に、まことに傾聴に値する研究であります。
ただこの研究をさらに発展させていただくためには、理論的枠組みだけではなく、グローバル競争時代に突入している日本の企業コーポレート・ガバナンス力のあり方について、事例研究を踏まえて、より実証性を深めていただきたい、と念願する次第です。

「教育・実践貢献賞」の授賞理由

本書は、日本の広報の成立面で貴重な歴史的事実を究明しており、今後の広報教育や広報研究の極めて重要な基礎的文献となるものと思われます。本書の前身となった「広報の史的研究会」に参加した共同執筆者とともにその功績を称えます。
しかし、編著も「まえがき」で述べているように、本書は「研究書」としてよりも「教養書」として書かれており、「学術貢献賞」としては、今後本書を基盤とし、これまでの日本の広報実務から直近の日本の広報課題までを展望し、それを踏まえ今後の日本の広報について新たな体系や方向までを提示していただくことを期待します。