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5月定例報告

5月定例報告 情報流通構造の事例研究会 5月23日開催
参加:池田、稲沢、岩澤、太田、小山、玉川、西川、田代
登壇:太田民夫さん

「リスクコミュニケーション」(福田充著、平凡新書、2022.1刊)を取り上げ、
同書の概要を発表後、質疑、議論を行った。

同書は「リスクコミュニケーション」について
危機管理学という新たな学問領域からのアプローチを試みている。
2011.3.11の東京電力福島第1原子力発電所事故、
2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の事態を中心に
リスクコミュニケーションの重要性を指摘している。

危機管理は新型コロナウイルスを例にして、インテリジェンス(情報分析)、
セキュリティ(防疫など)、ロジスティクス(ワクチンの確保)、
リスクコミュニケーション(情報提供)と4つの要素から成り立つとした。
危機発生前に発するのがリスクコミュニケーション、
危機発生後はクライシスコミュニケーションとして区別する。

リスクコミュニケーションの社会教育機能に言及。2011.3.11の津波から小学生たちを
守った「てんでんこ」で逃げるというケースを取り上げる。

また、リスクコミュニケーションはこれまでの情報の流れを考察したコミュニケーション論の
限界を示し「言語と行為」という考え方を提示している。コミュニケーションは人々の
行動を変容するのが目的であるため、説得をする言語の方略を考える必要性を訴える。

一方、ポストトゥルース社会において
個人のタコツボ化(広いはずのインターネットが極めて狭い空間=小屋に閉じこもる)と
社会の分断が進みリスクコミュニケーションのむずかしさも解説している。

最終章ではリスクコミュニケーションは民主主義と合意形成に欠かせない、と結論づけている。 
本書の解説のあと、「リスクコミュニケーション」の関心の深さからか、
メンバーから活発な質疑、議論が展開された。

6月は西川順子さんが国際学会の発表を終えた凱旋報告会を27日月曜日に開催する予定です。
スポット聴講も可能です。 
tashiro@materialpr.jp まで

(田代 順)