学会の活動

日本広報学会賞

概要Outline

「2012年度(第7回)日本広報学会賞決定」イメージ画像

2012年度(第7回)日本広報学会賞決定

2012年度(第7回)日本広報学会賞は、9月6日に審査委員会(委員長 菅原正博)を開催し、9月11日開催の第70回理事会の承認を得て、下記の通り決定いたしました。
同学会賞は、第18回研究発表大会(10月6日、7日 於同志社大学新町キャンパス)の第1日目冒頭に菅原同賞審査委員長から発表され、表彰が行われました。

審査対象

本学会会員が、2011年4月1日から2012年3月31日までに公刊した図書・論文で自薦、他薦によるもの、および『広報研究』第16号収録の論文を対象とした結果、図書1点、論文5点、計6点の応募がありました。部門別の応募は以下の通りです。

  • 学術貢献賞への応募 1点
  • 優秀研究奨励賞への応募 1点
  • 研究奨励賞への応募 5点
  • 教育・実践貢献賞への応募 1点

(複数の部門に応募した作品があるため、応募作品数と部門別の応募作品数は一致しません。)

審査結果

教育・実践貢献賞

藤代 裕之著(図書)『発信力の鍛え方 ソーシャルメディア活用術』
(2011年9月刊、PHP研究所)

研究奨励賞
  • 伊藤 直哉著(論文)『東日本大震災における生活者の情報行動とリスク認知
    —リスク・コミュニケーションのための実証的基礎研究—』
    (2012年3月刊、日本広報学会『広報研究』第16号)
  • 和田 仁著(論文)『福島原発事故からの広報倫理とプロフェッショナリズム再興に向けて— 社会的批判・疑念に応える試論 —』
    (2012年3月刊、日本広報学会『広報研究』第16号)
学術貢献賞

該当なし

優秀研究奨励賞

該当なし

2012年9月6日に、学会賞審査委員会が開催され、本年度の学会賞の審議を行いました。本年度は、A.学術貢献賞1件、優秀研究奨励賞1件、研究奨励賞5件、B.教育・実践貢献賞1件の応募がありました。審議の結果、以下のように3件を賞の該当者として選出しました。

受賞作品の講評

(文中敬称略)

日本広報学会賞審査委員会「研究奨励賞」の受賞理由

1)著者 和田 仁
福島原発事故からの広報倫理とプロフェッショナリズム再興に向けて
— 社会的批判・疑念に応える試論 —

選出の理由として、本研究は福島原発事故発生における報道活動に対して広報倫理のあり方について、詳細な実証データを駆使して、建設的な社会批判の目を持つ重要性を論述している点が、学術性、実証性および学際性の基準を満たしている、ということで「研究奨励賞」に値すると判断しました。
ただ原発事故という緊急時における実証性だけでは、時間が経過するにつれて真相が次第に風化していく危険性があるので、福島原発事故以外にも通用するような広報倫理とプロフェッショナルな視点の理論的枠組み作りに継続して取り組んでいただくことにより、クライシス・マネジメントにおける広報倫理論の確立に寄与すると思われますので、今後の研究成果に期待したいと思う次第です。

2)著者 伊藤 直哉
東日本大震災における生活者の情報行動とリスク認知
—リスク・コミュニケーションのための実証的基礎研究—

選出の理由として、本研究は東北大震災勃発後の直近のデータを多面的に解析している点が学術性、実証性という面で優れていると高く評価し、「研究奨励賞」に値すると判断しました。特に広報研究における定量的な実証研究として模範的な研究に値するという評価をいただきました。ただこの実証的研究を引き続き積み重ねていく上において、「東日本大震災」に匹敵するような事件が再来することが難しいので、生活者の情報行動とリスク認知の相関関係を実証できるデータの入手が困難ではないかという指摘もあり、その点をどう考えるかという点についての見解を明確にするということも含めて、この研究を基盤にして今後の広報活動のリスク・コミュニケーションのあり方についてどのように研究を深めていくのかという点について明確にしていただきたいと期待する次第です。

「教育・実践貢献賞」受賞理由

著者 藤代 裕之
「発信力の鍛え方 ソーシャルメディア活用術」

選出の理由として、最近広報研究で注目されているソーシャルメディア問題を、情報発信力という立場で、実務的能力の向上に役立つように平易に論述しているために、教育・実践への寄与と独自性、文章表現という面で優れているので、「教育・実践貢献賞」に値すると判断しました。特に本研究は、単なるハウツ—本ではなく、思考方法を改善して自ら情報発信力を鍛えるという学習力向上を支援するという点に力点を置いている点を高く評価しました。
ただ、この研究は単なる暗黙知の活用の仕方にとどまらず、知識移転が可能なように、思考法のプロセスをステップ分解して、形式知として広報知識移転に貢献できるような研究に質的に高めていただきたいと期待する次第です。